フリクションシャフトは、主に巻き取り機やスリッターなどの産業機械で使われる部品で、材料(フィルムや紙など)を巻き取る際に張力を均一に保つための技術です。この技術の根底には、「摩擦(フリクション)」を利用してトルクや速度差を調整する仕組みがあります。歴史的には、工業化が進んだ20世紀初頭から中盤にかけて、製造業での効率化や品質向上が求められる中で発展してきたと考えられます。
具体的な起源は定かではありませんが、巻き取り技術自体は印刷や織物産業の機械化とともに進化してきました。初期の巻き取り装置では単純なシャフトが使われていましたが、材料の厚さや伸びの違いによる巻き取り不良が問題になりました。そこで、摩擦を利用して個々の巻き取りロールの張力を独立して制御するアイデアが生まれたのです。エアーシャフト(空気圧で膨張して固定するシャフト)が登場した20世紀中盤以降、これに摩擦機構を組み合わせたフリクションシャフトが開発されていったと推測されます。
日本では、戦後の工業復興期(1950年代~1960年代)に、フィルムや包装材の生産が増加し、スリット加工や巻き取りの精度が求められるようになりました。この時期に、フリクションシャフトの原型ともいえる技術が機械メーカーの間で試行錯誤された可能性があります。たとえば、エアーフリクションシャフトのように、空気圧で摩擦トルクを調整するタイプは、1970年代以降に実用化が進んだようです。現代では、当社や他の企業が、低張力での巻き取りや多様な材料に対応するフリクションシャフトを開発し、技術をさらに洗練させています。
歴史的な節目のポイントを挙げるなら、エアーシャフトの普及が一つの転換点で、そこから派生したフリクションシャフトが、1980年代~1990年代に製造業の高度化とともに広く採用されていったといえます。ただ、特許や文献で「フリクションシャフト」という名称がいつ初めて使われたかを特定するのは難しく、業界内で自然に進化した技術と言えます。